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夜明けの口笛吹き
Pink Floyd 1967
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 初めてこれを聴いたのは、二十歳を少し過ぎた頃だとおもう。当時はネオサイケの絶頂期で、私のサイケデリック・ヒーローはヴェルヴェット・アンダーグラウンドであった。その耽美な雰囲気にやられていたゆえ、この音楽が今ひとつまとまりなく、安っぽいへたくそなロックンロールにしか聞こえなかったのはいたしかあるまい。

 その後の私は音楽の嗜好も広がり、たくさんのサイケデリックミュージックも耳にした。そして、サイケデリックが精神の解放を意味しているとしたら、多くのサイケデリックミュージックは「サイケデリックミュージックであること」に固執して、決して自由な音楽ではないことを知った。

 夜明けの口笛吹きは、そのタイトル通り自由と清々しさを併せ持つ。徹夜明けの少し高揚した気分で、薄明かりの石畳を歩きながら口笛を吹いてみる。何者にも属していない、誰の目を気にすることも無い、そんな自由さ。そして、たとえその瞬間限りのものだとしても、そこには孤独とともに真理が垣間見えるはずだ。

 そのカラフルさと奥行き。ポップでチープな音色とコロコロ変わる曲調に騙されてはいけない。 きっと、シドは自分の音楽を通して、深淵を見てしまったにちがいない。ずっとそのふところに抱かれていたかったから、ドラッグを使ったのだろうか。今シドのいるところはどんなところなんだろう。不安も恐れも何も無くて、彼は深遠に抱かれて眠っているのかもしれない。さようなら、シド・バレット。僕もいつかそこにいきたい。
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by bow1965 | 2006-07-12 21:43 | 〜80年代 英国のロック
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