センチメンタル

Between Flesh And Divine
ASIA MINOR 1980
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ポジパン/ネオサイケを始めとするニュー・ウェイヴの波に押しやられ、プログレ不毛の時代と言われた80年代にも、わずかではあるが優れたバンドが存在していた。オランダのCODA、ドイツのAMENOPHIS、そしてフランスのASIA MINOR。

 その三つのバンドの中でどれが一番かというのは好みの問題であり、かつバンドの方向性も違うために、あまり意味が無い。私個人の好みからいえば、ASIA MINORは完成度はCODAに、テクニックはAMENOPHISにそれぞれ一歩譲るものの、その叙情性と理知的とも言える展開において、他二者の追随を許さない。

 奇数拍子を基本とする変拍子を多用するシンフォニックな曲調は、まさに70年代を継承している音楽である。トルコ出身のリーダーによって、たどたどしい英語で歌われるその歌は、しかし吃音系というよりはむしろ儚さが滲みだしているようにさえ聞こえる。

 基本的な編成はギター/ドラム/ベースとフルートで、控えめなキーボードが時折差し挟まれる。全体に乾いた緊張感をはらんだ、スピード感のある演奏ではあるが、全体に寂寥感が漂う、まるで砂漠の夜明けのような透明な音楽が紡ぎだされていく。

 ほんとうに、この一瞬を逃したら二度と聞けないのではないかと思わせるような儚さとうらはらに、時に顔を出す強靭なリズムに支えられた疾走感。その絶妙なバランスが開けてくれる扉の向こうからは、漂うような、吹き抜けるような、そんなフルートに導かれて、いいしれぬ切なさが流れだしてくる。そう、悲しいのでも寂しいのでもなく、良い知れぬ切なさに胸が締め付けられるような感覚。

 私は20代のうちにこの音楽に出会うことが出来たことを、とても幸せだと思う。
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by bow1965 | 2006-08-06 17:16 | 〜80年代 欧州のロック
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