近来稀に見る・・・

bareback
hank dogs 1998
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 某誌で「ストレンジ・フォーク」特集を組んでいたからというわけではないのだけれど、英国フォークです。60年代後半からイギリス本土で猛威をふるったフォーク・リヴァイヴァルは、チャイルド教授やセシル・シャープ卿、A.L.ロイドなどの仕事を土台にして、シャーリー・コリンズやマーティン・カーシーたちが種を蒔き、フェアポート・コンベションやスティーライ・スパンたちが華咲かせました。それはその後のイギリスの音楽シーンに有形無形の影響を与えたことは言うまでもりません。

 しかし、それを陰でささえたのが、誰あろう名プロデューサー、Joe Boydその人なのです。
 かれが携わったアルバムは枚挙にいとまがありません。ニック・ドレイクやバシティ・バニヤンもそうです。そんなかれは、しかしながら80年代にはほとんど表舞台にはたたなくなります。おそらく、R.E.Mが最後の大物でしょう。それまで彼が手がけてきた多くのミュージシャン達のように、十年も二十年もの歳月に耐えうる才能を持った新人に出会わなくなったというのが、その理由だそうです。それからしばらくの間、彼は旧友たちの再発や新作のリリースと、世界中のフォークソングのディストリビュートをしていました。

 そんな彼が長い沈黙のあとに、久々にプロデュースしたのがこのhank dogsなのです。メンバーは父と娘、そして女性の3人。シンプルなハーモニーで、しっとりと歌います。もちろん、英国のフォークを特徴づける陰影にとんだ曲づくりは、まさにフォーク・リヴァイヴァルの直系と言えるでしょう。美しいアルペジオにのせて、ゆっくりとしっとりと歌が流れていきます。

 特に絶品なのは2曲目の”18dogs”でしょう。60〜70年代の名曲群と比べても遜色ありません。緊張感に裏打ちされた深い悲しみをたたえつつ淡々と歌われるその歌は、残り少ない20世紀の最後を飾るマーダー・バラッドに他なりません。
 ストレンジと言えばこれほどストレンジな歌は他に無いのかもしれません。彼ら自身はこちら側にいますが、いとも簡単に異界への道をあけてしまうのですから。
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by bow1965 | 2006-08-29 19:57 | その他の音楽
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