レア盤100枚、買わなくて済んだ(笑)

Songs in the Key of Z
アーウィン・チュシド・著/喜多村 純・訳 2006
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 通常、音楽のキーはC〜Bのどれかであるが、それがZとは・・・つまり調子っぱずれ!
まずはプレスをちょっとひいてみよう

天才の音楽? ドラッグで人生を踏み外した人の音楽? 心に痛みを持った人の音楽? キ●ガイの音楽?……いや、そのすべてが間違っていて、そして、すべてが正しい。シド・バレットやキャプテン・ビーフハートのように、未だロック・レジェンドの中に生き続けている輩もいれば、シャグスやダニエル・ジョンストンのように、ある者は笑い、ある者はその音に涙するアーティストもいる。ハリー・パーチやロバート・グレッティンガーのように時代を経てついに評価された現代音楽家もいれば、いまだ失業保険で食いつないでいる名もなき天才たちもいる。ただ言えるのは、彼らの音楽には、いわゆるポップスや商業音楽のマナーでは永遠に辿り着くことができない、とんでもない謎と喜びに満ちあふれているものなのだ。もちろん、行き着く先は、天国か、もしくは地獄のどちらかだけど、ね。

 私はいわゆるディスクガイドブックは買っても、評伝や伝記、音楽評論なんかはいっさい買わないことにしている。いっぱんに、そういった本の著者は音楽をビジネスとしていて愛が感じられないか、愛がありすぎて文章表現がそれに追いつかず、日本語として成り立っていないか、そのどちらかであるものが多いからである。特に翻訳物については明らかな誤訳/意訳は枚挙にいとまがないであろう。

 しかし、この本についてはその心配は必要なかった。私は英語はよく読めないし、もちろん原著を呼んだわけでもないのだけれど、原著者のあふれんばかりの音楽に対する愛を、役者がしっかりと受け止めて(笑)、丁寧に訳出しているのは間違いない。もちろん、翻訳は大変な作業であったと察するが、訳すことを楽しんでいるのであろうし、この書が誰かの手に渡って、その誰かがにやにやしながらページをめくる様子をワクワクしながら想像したりしていたかもしれない(笑)

 題材となっている音楽を直接聞いたことがないとしても、読み物として充分楽しめる。ただし、扱っている音楽があまりにも通常の音楽とは隔たっている部分があるため、どのページを読んでもピンとこない方には、むろんお勧めはできないのだが。
掲載アーティスト:シャグス、シド・バレット、ダニエル・ジョンストン、タイニー・ティム、キャプテン・ビーフハート、ハリー・パーチ、ヤンデック、ザ・レジェンダリー・スターダスト・カウボーイ、ワイルドマン・フィッシャー……他、数えられない偉人たち。
この名前を見て、にやりとする人たちにとっては、この本は福音書か、はたまた悪魔の書か!?

 この書は、決して音楽の研究書ではない。解説書ですらない。その音楽を愛するあまり、ややストーカー気味に、音楽とアーティストの周辺を野次馬しにいくような話である。覗き趣味かもしれない。ちょっとはしたないかもしれない。行儀悪いかもしれない。それでも良いのだ!我々はその音楽を心から愛しているのだから!!

 この書を一人でも多くの人が手にとって、自分の音楽趣味は決して孤独なものじゃないことをわかってくれたら、それは素敵なことだ。私たちはもっともっと自由に聴きたい音楽を聴きたいのだ。

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 もちろん、書誌としても大変素敵な装丁である。これ、原著のままだったら買わなかったかも!?
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by bow1965 | 2007-03-03 17:54 | その他の音楽
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