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元祖、不思議少女!?

魔物語
Kate Bush 1980

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 魔物語、とは良く出来た邦題であると思う。これは高校のときに同じクラスのツネミ君に借りたのが最初で、うちの旧式のモジュラーステレオで録音したのを長く長く聞いていた。
 とかくエキセントリックな部分ばかりがとりあげられがちであるが、それもいたしかたあるまい、と思わずにはいられないほど個性的である。

 次作には一歩譲るものの、さまざまな実験的音づくりが鏤められている。しかし、真に恐るべきは彼女の声であろう。演劇的な声使いではあるが決して役をつくるわけではなく、すべてが彼女の内なる衝動に突き動かされているかのようである。時々絡む無表情なコーラスも不気味で素敵である(笑)

 もともと端正な顔立ちで、スタイルも良く、リンゼイ・ケンプ直伝の身のこなし。
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ほんとに小悪魔だと思った(爆)一時期、というより今でも寝付けないときに良く聞いている。入眠音楽としてこれほど向いてるものは無い。

http://www.youtube.com/watch?v=NjGsEMqGTO8

このアルバム発表当時は、片田舎ではとてもじゃないが動いてる彼女の姿など望むべくもなく、街角でセイコーのポスターをため息つきながら眺めるのが関の山・・・
後年、彼女のクリスマスコンサートのビデオを新宿の目立たないマンションの一室にあるビデオ屋さんで入手(注文をうけてその場でダビングするやつね)して、聞きしに勝る艶かしさに鼻血が出そうになった。
http://www.youtube.com/watch?v=kkZ1CTusvp0&mode=related&search=
もう、こんなものではない(笑)

というわけで、今はすっかりお年を召してしまわれたようだけれども、このアルバムを再生すれば、もうそんなことはどうでも良くなってしまうのであった。
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by bow1965 | 2007-03-30 21:38 | 〜80年代 英国のロック

無彩色

わがままな巨人
アニマ会議 2006
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 これは、音楽ソフトではないけれど音楽と映像が不可分で、しかもナレーションは工藤冬里(マヘル・シャラル・ハシュバズ)、音楽はさほり(同)というラインナップ。

原作はオスカー・ワイルドで、製作はアニマ会議、ディレクターは大鹿知子。切り絵を使ったアニメーションというのは独特の動きで、ストップモーション的なぎこちなさと奇妙な滑らかさが同居するものである。

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思い出すのはロシアのノルシュテインであるが、それとはかなり肌触りが異なっている。

モノクロの画面は、時に影絵のように(実際、影絵も効果的に使われている)
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時に豪華絢爛に
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物語を映し出す。

平面は光と影によって奥行きを手に入れ
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平面は光と影によってきらめくオブジェと化す
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淡々と進む物語は、やはり淡々とした工藤の語りによって進められる。
仄かな彩りを添えるさほりのピアノ。
映像と語りとピアノ、どれか一つだけでも成り立つほどそれぞれが魅力あるものであるが、それが合わさったものを見てしまうとどれか一つがかけても成り立たないと思わせてしまうほど、最初から不可分なものであったかのように結びついている。

多分、マヘルの音楽に対する姿勢と工藤の生き様(笑)がこの作品を呼び寄せたのだろう。たとえたった17分であろうと、ここまで現実から連れ出してくれる作品は少ない。しかも、これは異界へつながる目立たない橋なのだ。無理矢理連れ出すことも無いかわりに、渡ろうとしない人は決して向こう側にいくことが出来ない。なにより、あなたが渡る橋の向こうには、あなたしか見ることの出来ない世界が広がっている。

そしてこんな近くにその橋があったのだ。
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by bow1965 | 2007-03-25 09:22 | その他の音楽

レア盤100枚、買わなくて済んだ(笑)

Songs in the Key of Z
アーウィン・チュシド・著/喜多村 純・訳 2006
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 通常、音楽のキーはC〜Bのどれかであるが、それがZとは・・・つまり調子っぱずれ!
まずはプレスをちょっとひいてみよう

天才の音楽? ドラッグで人生を踏み外した人の音楽? 心に痛みを持った人の音楽? キ●ガイの音楽?……いや、そのすべてが間違っていて、そして、すべてが正しい。シド・バレットやキャプテン・ビーフハートのように、未だロック・レジェンドの中に生き続けている輩もいれば、シャグスやダニエル・ジョンストンのように、ある者は笑い、ある者はその音に涙するアーティストもいる。ハリー・パーチやロバート・グレッティンガーのように時代を経てついに評価された現代音楽家もいれば、いまだ失業保険で食いつないでいる名もなき天才たちもいる。ただ言えるのは、彼らの音楽には、いわゆるポップスや商業音楽のマナーでは永遠に辿り着くことができない、とんでもない謎と喜びに満ちあふれているものなのだ。もちろん、行き着く先は、天国か、もしくは地獄のどちらかだけど、ね。

 私はいわゆるディスクガイドブックは買っても、評伝や伝記、音楽評論なんかはいっさい買わないことにしている。いっぱんに、そういった本の著者は音楽をビジネスとしていて愛が感じられないか、愛がありすぎて文章表現がそれに追いつかず、日本語として成り立っていないか、そのどちらかであるものが多いからである。特に翻訳物については明らかな誤訳/意訳は枚挙にいとまがないであろう。

 しかし、この本についてはその心配は必要なかった。私は英語はよく読めないし、もちろん原著を呼んだわけでもないのだけれど、原著者のあふれんばかりの音楽に対する愛を、役者がしっかりと受け止めて(笑)、丁寧に訳出しているのは間違いない。もちろん、翻訳は大変な作業であったと察するが、訳すことを楽しんでいるのであろうし、この書が誰かの手に渡って、その誰かがにやにやしながらページをめくる様子をワクワクしながら想像したりしていたかもしれない(笑)

 題材となっている音楽を直接聞いたことがないとしても、読み物として充分楽しめる。ただし、扱っている音楽があまりにも通常の音楽とは隔たっている部分があるため、どのページを読んでもピンとこない方には、むろんお勧めはできないのだが。
掲載アーティスト:シャグス、シド・バレット、ダニエル・ジョンストン、タイニー・ティム、キャプテン・ビーフハート、ハリー・パーチ、ヤンデック、ザ・レジェンダリー・スターダスト・カウボーイ、ワイルドマン・フィッシャー……他、数えられない偉人たち。
この名前を見て、にやりとする人たちにとっては、この本は福音書か、はたまた悪魔の書か!?

 この書は、決して音楽の研究書ではない。解説書ですらない。その音楽を愛するあまり、ややストーカー気味に、音楽とアーティストの周辺を野次馬しにいくような話である。覗き趣味かもしれない。ちょっとはしたないかもしれない。行儀悪いかもしれない。それでも良いのだ!我々はその音楽を心から愛しているのだから!!

 この書を一人でも多くの人が手にとって、自分の音楽趣味は決して孤独なものじゃないことをわかってくれたら、それは素敵なことだ。私たちはもっともっと自由に聴きたい音楽を聴きたいのだ。

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 もちろん、書誌としても大変素敵な装丁である。これ、原著のままだったら買わなかったかも!?
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by bow1965 | 2007-03-03 17:54 | その他の音楽