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気高さ故に

MACBETH
LAIBACH 1989

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1987年に、舞台用に書かれた音楽である。演奏するlaibachは旧ユーゴスラビアからのスロベニア独立を歌う総合芸術集団。重厚なサンプリングが特徴で、極めて政治的な作品を連発する。構成員には舞台美術の専門家やパフォーマーも含まれる。

当時、たくさんのノイズ・インダストリアル系のバンドが犇めく中にあって、彼らの音楽の出自は決してそれらと同一ではなかった。メタリックなパーカッション、絶叫、ノイズが轟音でほとばしり、混沌が走り回る。にもかかわらず、彼らの音楽は何にも似ていない。極めで高度な構築性とマーチングにも似たリズム。本作には含まれないが朗々としたボーカル。それはスロベニア独立に向けての進軍を意味しているようだ。

15分目あたりで挿入するストリングス(サンプリング)は荘厳で気高い。その後、ブラス(サンプリング)やキーボードで繰り返されるそのモチーフが、このアルバムの最大の魅力である。
そう、その志と荘厳さゆえに、彼らは孤高なのかもしれない。

かれらはこの後、ストーンズやビートルズをはじめとする西欧諸国のロックのカヴァーも手がけるが、初期の混沌が薄れてしまい、ただの重たいサンプリングの垂れ流しにしか聞こえないのはつくづく残念である。

youtubeで出てくるのは比較的新しい時期の映像であり、かなりポップにコマーシャルになっているもので、魅力は無い。まずはこれの1曲目あたりからどうぞ。

どうでも良いことだが、このCDは買ってしばらくした頃から中の金属箔の一部が腐食し、樹脂部分が黄ばみ始め、一部が白濁し、次第に金属箔の各所にピンホールがあらわれ始めた。いつまで聞き続けられることやら・・・
by bow1965 | 2007-04-21 16:33 | その他の音楽
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